シークレット 18

シークレット
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恋愛禁止……、
それを聞いたからって、揺らぐほどこの想いはそんなに小さくはない。

「ふざけんな。行くぞ。」
俺はそう言って牧野の手を握り表通りへと向かう。

「道明寺っ。待ってよっ!」

待ち合わせのビル前に待機していた邸の車に近付くと、慌てて運転手が出てきて、ドアを開ける。

牧野の体を先に車に乗せ、
「メープルまで行ってくれ。」と運転手に告げ自分も車へ乗った。
 
「メープルって?」

「俺のホテル。」

「は?」

「道明寺が経営してるホテルだ。今は俺が支配人。そこのバーなら誰にも会うことなく話ができる。」

そう言う俺を、不思議な物でも見るかのような顔で見つめたあと牧野が言う。
「あんたの言う事って、ほんとあり得ない。」

「あ?」

「だって、あたしたち1歳しか違わないのに、なんでそんなに住む世界が違うの?
理事長だったり、支配人だったり。もしかして、どこかの国の大統領だとか言い出すんじゃない?」

「去年、島を買って俺の名前は付けたけどな。」

「……。信じらんない。」

そうこうしているうちに、メープルの地下駐車場へ車が入っていく。
ここからはVIP専用のエレベーターでバーへと行くことができる。
そのまま個室に入れば、他の奴らと顔を合わすこともない。

牧野を車からおろしエレベーターに乗せると、落ち着かない様子でキョロキョロするこいつ。

「何だよ。」

「だって、あたしこんな格好だし。」

パーカーにキャップ姿は、確かにメープルに相応しくないし、牧野の雰囲気ともどこか違う。

「おまえにしては珍しいじゃん。」

「もしも誰かに見られたとしても、散歩の途中でたまたま会ったって言い訳出来るようにこの服装にしたの。」

そう言う牧野は相変わらず分かっちゃいねぇ。

「おまえさー、男が女を食事に誘う理由、分かってんのか?」

「へ?」

「一応、俺は今日おまえに会うために上質のスーツで来たんだよ。なんでか分かるか?
デートだと思ってるからだよ、デート。」

キョトンとするこいつにそう言ってやると、鈍感な牧野でも少し頬が赤く染まる。

それと同時に、エレベーターがバーの階で開き、一般客と壁で仕切られた個室スペースが広がり、そこを牧野の手を取り進む。

ソファとテーブルが、ガラス張りの窓に向けて置かれた個室スペースは、ゆったり呑みながら東京の夜景が一望出来る。

そこに牧野を座らせたあと、俺はバーのカウンターへ行き、自分用のビールグラスと牧野には甘いカクテルを作らせ、それを持って個室へと戻り牧野の横へ座った。

緊張した顔のこいつ。
俺が渡したカクテルにも口をつけないまま、窓の外を見ている。

「牧野。」

「…ん?」

「俺さ、ここに来るの初めてなんだよな。」

「え?そうなの?支配人なのに?」

「ああ。
ここって、すげー綺麗じゃん。今日みたいに晴れてる日なんて、これでもかってくらい夜景がすげーの。」

「うん。ほんと、こんな夜景見たことない。」

「だろ?
だから、いつかここに来るときは、好きな女と来てぇなと思ってた。」

俺のその言葉に、返事もしねーで慌ててカクテルに口をつける牧野。
動揺してんのか、急にグラスを持ち上げたから、カクテルが少し溢れてパーカーを濡らす。

「あっ、」

「バカっ、ゆっくり飲めって。」

テーブルにあるナフキンで牧野のパーカーを拭いてやる。

「ったく、大事な話ししてんのによ。」

「だって、道明寺がっ」

「俺が?」

「道明寺がっ……変なこと言うから。」

「変な事?
じゃあ、もっと分かりやすく言ってやるよ。
牧野、俺はおまえが好きだ。」

「……道明寺…、
あたしたち、再開して、すぐだよ?」

「ああ。
理屈じゃ説明できねーけど、4年のブランクなんて一切ねーよ。
あの頃も今も、俺はおまえ以外女として見えねぇ。」

消そうとは努力した。
けど、封印しただけで消せなかった牧野への想い。

「牧野、一つだけおまえに聞きてぇ。」

「…な、何?」

「4年前、どうして俺と付き合う選択をしなかった?」

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コメント

  1. はな より:

    やだっ!ゴメンナさい、作者さまっ
    傍目に高い高いハードルにみえても、飛び越えるでもなくぶち壊して一気にゴールへっ!
    おとな司だわ!!
    4年の時が、おとな司を生んだのねーーー!!
    おとな司さん、ステキーッッ

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