シークレット 13

シークレット

大学を出て通りを見渡すと牧野が見えた。
走って側まで行くと、そのままこいつの腕をとって大学とは反対方向へ歩き出す。

「ちょっと!道明寺、どういう事?」

「いいから、とりあえず付いて来い。」

そんな俺らの横に1台の車が近付いてきてゆっくりと止まり、中からあきらが
「司、乗れ。」
と、叫んだ。

「おう、サンキュー。」



とりあえず、誰にも邪魔されずにゆっくり話せる所……と言う事で、牧野のバイト先である喫茶店に来た。

俺たちが到着した5分後には、総二郎も合流して、大学に貼り出されていたという写真を俺たちの前に置いた。

「えっ……これ……。」
その写真を見て言葉を失う牧野。

「司、この写真を撮った奴に心当たりは?」

「全くねえ。」

「これはいつの写真だ?」

「3日前だ。」

「もちろん合成じゃねーよな?」

「……ああ。」

俺のその答えに、お祭りコンビがニヤつく。

「おまえらいつから、実家にお泊りするような仲になったんだよ。」

「違いますっ!」

「これで付き合ってないっつー弁明は苦しいだろ。」

「誤解です!」

必死に否定する牧野も、次の総二郎の言葉に口を閉じる。

「この日、おまえらに何もなかったって誓えるか?」

「……。」

あの日のキスが頭をよぎる。
決して、何もなかったとは言えない。
少なくとも、俺は牧野を完全に女として意識してたから。

「規律違反だとみなされたらヤバいぞ司。
退学もあり得る。」

「ああ、分かってる。」

「とりあえず俺達は犯人探ししてやるから、それまでにどうするか二人で考えろ。」

そう言って俺の肩を軽く叩きながらお祭りコンビが店を出ていった。

残された俺たち二人。
先に口を開いたのは牧野だった。

「別に付き合ってる訳じゃないし、夕飯を食べに来ただけだって言えば規律違反にもならないでしょ。」

「泊まって、朝二人で出てきてるのに?」

「それは、…たまたま遅くなって終電がなくなったから…とか?」

「キスもしたのに?」

「っ!それはっ、別に言わなければ分からないでしょ!」

あの日以来、キスのことをこいつと話すのは初めてだ。

「俺はこのまま無かった事にしたくねえ。」

「え?」

「あの時もおまえにちゃんと言ったよな。
おまえが好きだって。そして、キスした。
だから、これは完全に規律違反だろ。」

自分から違反を認める俺に、牧野は眉間にシワを寄せて言った。

「あんた何言ってるの?
違反を認めたら、退学になるかもしれないの、分かってる?」

「ああ。」

「ああって、あんたが良くてもあたしは困る!」

俺を見つめて怒る牧野に、俺は言う。

「規律違反にならない方法が一つだけあるだろ。」

「はぁ?」

「交際を認めて、お互いの親に承諾書を貰う。」

「道明寺、あんた本気で言ってるの?」

「ああ。俺と交際宣言しよーぜ。」

「……。」

「1週間やる。考えてみてくれ。」



道明寺にそう言われてから1週間。
あたしの心は複雑に揺れ動いている。

道明寺と付き合うなんて正直、あり得ない。
あたしたちがつりあう訳もないし、そもそも『好きだ』と言われても実感さえ沸かない。

だから、答えはもちろんNOだと決まっている。

けれど、時々思い出すあの人の、
綺麗な笑った顔や、
助けてくれた時の焦った表情、
好きだと言ったときの真剣な目。
そして、軽く触れるだけの初めてのキス。

考え出すと胸がなぜか苦しくて、まるで恋でもしているかのようにドキドキ鳴り響く。

NOだと伝えるため、この一週間何度も電話を握ったけれど、コール出来ずにズルズルときてしまった。

そして、約束の一週間がたった今日、道明寺から電話が来た。

「もしもし。」

「俺だ。」

「うん。」

「牧野、大事な話がある。
これから会えるか?」

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コメント

  1. はれこ より:

    フムフム 大事な話し…
    なんぞや?
    始めから 創造つかないシークレット  いつも楽しく拝見し 次のお話しを楽しみにしております。

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