シークレット 4

シークレット
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俺たちの通う英徳は高校、大学共に共通のルールがある。

それは、校内での『恋愛禁止』

姉貴が通っていた頃はこんな規律はなかったらしいが、いつからか風紀が乱れ、勉学や仕事に支障をきたす様になり、この校則が出来たと聞いた。

実際、ここに通う奴らは、本人よりも親の力が強い。親が決めた相手と結婚をするなんて事が日常茶飯事の俺達にとって、自由恋愛は認められない。

もしも、本当に交際をしたいのであれば、お互いの親の承諾書が必要という徹底した規律がここには存在する。

だが、俺にとってそんな規律、気にも留めたことがなかった。
恋愛どころか、気になる女なんて一人もいねぇ。
色目を使って近付いてくる女達をどうやって追い払うか、それしか頭になかったはずなのに……。

それから1週間たったある日、
カフェテリアで類と二人コーヒーを飲んでいると、お祭りコンビが連れ立って入ってきた。

その顔を見て、すぐにピンと来る。
何か、すげぇ面白い事があったんだろう。
「ういっす。」と、テンション高めの二人は、
俺と類の正面に座り、ニヤニヤしてやがる。

「なんだよ、早く話せ。」
そう俺が言ってやると、

「司、これから少しデートしようぜ。」
と、あきらが言う。

「あ?」

「面白いもん見せてやるよ。」

「いらねぇ。」

「いいから、行くぞ。」

「どこにだよ。」

「行けばわかる。類、おまえも行くぞ。」

お祭りコンビに強引に立たされ、カフェテリアをあとにした。



総二郎の運転で連れてこられたのは、大学から3つほど離れた駅近くの繁華街。
パソコンやカメラなどの専門店が多く、比較的このあたりは男性客が多く賑わっている。

そんな所に連れてこられて、意味が分からねぇ俺に、
「さぁ、喉が渇いたね司くん。
そこらでちょっとコーヒーでも飲もうか。」
と、総二郎が芝居がかった台詞を言いやがる。

「なんだよ、何がしてーんだよおまえらは。」

「いいからいいから。
そこの黄色い看板の店に入ろう。」

「あ?」

総二郎が指差す店は和風の喫茶店のような雰囲気。
看板には、
『仙石屋』とあり、その横に
「和菓子と抹茶も楽しめます。」
と、書いてある。

そこに何の用があるんだよ…と思いながらも、引きづられるまま店に入った俺は、
「いらっしゃいませ〜。」
と、言って声をかけてきた店員を見て固まった。

頭には猫耳のカチューシャ。
服は黒いワンピース。
そして、そのおしりにはピンクのしっぽが付いている。

店の外見から似ても似つかないその姿に思わず絶句していると、
「4名様ですか?」
と、店員が頬を赤くして聞く。

どうやら、あきらのことを見て、もうメロメロのようだ。
その店員に促されるままテーブル席に付くと、俺は正面に座る総二郎の足を蹴ってやる。

「なんだよ、この店。」

「司、ここ見ろ。
毎週木曜日は可愛いコスプレをしてお客様をお迎えしますって書いてあるだろ?」

「てめぇ、殺すぞ。」

そんな俺達のやり取りを見ていた類が、隣でクスクス笑い出す。

「おまえ、何笑ってんだよ。
こんな所に連れて来られたんだぞ、少しは怒れよ。」

そう言って、類を睨んでやると、
「いや、これ以上楽しいことはないでしょ。」
と言って、何かを悟ったようにあきらとハイタッチをした。

その時だった。

「お待たせしました。」
と、お盆に水が入ったグラスを持った店員が俺達の側にやってきた。

そして、そいつの顔を見て、俺はまたも完全に固まった。

「おまえ、……牧野?」

「……なんで、あんたが……」

俺は、猫耳をしたこいつと見つめ合う。

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