シークレット 1

シークレット

ここは、英徳大学の第2講堂。
そこの前に置かれた大きな掲示板に、1枚の紙が貼り出される。

それは、あたしの運命を変える紙。



午後2時に張り出されるそれを見るため、あたしは30分も前から講堂前に待機していた。

ドキドキしすぎて心臓が痛い。
この結果次第で、あたしの学生生活は大きく変わってくるのだ。

2週間前に行われた学内一斉テスト。
英徳大学に通うすべての学生を対象に毎年行われるそのテストは、上位入賞者に特典が与えられる。

特に、英語、フランス語、中国語、この3教科については、1位になれば1年間の授業料が免除になるという、あたしにとっては最高の特典。

フランス語、中国語は無理だとしても、英語一本にかけて死ぬ気で勉強すれば、もしかしたらイケるかもしれない。
そう思ったのが8ヶ月前。

それから、文字通り死ぬ気で勉強した。
バイト以外の時間はすべて英語に費やした。
そのかいあって、テストはかなり手応えがあったのだ。

だから、上位にはいけたかもしれない。
ただ、1位となると、そう簡単じゃない事はわかっている。

なぜなら、ここは……英徳大学だから。
生まれたその瞬間から英才教育が始まるお嬢様とお坊っちゃんの集団なのだ。

語学なんて勉強しなくたって自然と身につくと思っている連中と、塾になんて通ったこともないあたしが同じ土俵にあがれているだけ奇跡。

それに、倒さなきゃならない最大のライバルがいる。
テストのほぼ全教科の1位に君臨している男。
その名は『道明寺司』

英徳大の3年であるその男はあの有名な道明寺財閥の御曹司で、容姿端麗、成績優秀、嫌味なくらい完璧な男。

この男を倒さない限り1位になれないと自分に言い聞かせて、この8ヶ月を戦ってきた。
今日、その結果が出る。

講堂の鐘が2時を知らせるように響いた。
それと同時に、掲示板に紙が貼り出される。
あたし以外、特にそれを気に留める人もいない。

一つ大きく息を吐いたあと、意を決して掲示板の前まで行った。
確かめるのはただ一つ。
英語の順位。

英語、英語、英語………あった。
そして、1位は、

『牧野つくし』

見た瞬間、思わずガッツポーズで叫ぶ。
「よっしゃ!やった、1位、よくやったあたし!」
涙が出るほど嬉しくて、バタバタ喜ぶあたし。

その後ろで、低い声が響いた。

「誰だ?牧野つくしって。」

にほんブログ村 小説ブログ 二次小説へ
にほんブログ村

ランキングに参加しています。応援お願いしまーす♡

コメント欄は記事下にあります。

コメント

  1. 葉月 より:

    こんにちは(*’▽’)

    今回のシークレットどういう話か楽しみです。
    英語1位になったつくしに話しかけたのは?
    司?ワクワクしながら更新を待ってます(*^^)v

    • 司一筋 司一筋 より:

      返信おそくなりました♡
      いつもありがとうございます!
      シークレット、引き続きお楽しみください♡

  2. わわわわ より:

    はじめまして。
    新しいお話楽しみにしています。
    はじめてコメントさせていただきます。
    いつも楽しく拝見してました!!
    どのお話も好きです(^-^)
    無敵も楽しかったです。
    更新があると読めるのがうれしくて♪
    でも、無理ならさないでくださいね!
    大寒波大丈夫ですか??
    ご自愛くださいね。

    • 司一筋 司一筋 より:

      返信おそくなりました♡
      いつもお越しくださってありがとうございます!
      これからも、細く長く頑張っていきますのでお付き合いお願いしまーす♡

タイトルとURLをコピーしました