牧野の実家に泊まった1週間後、姉ちゃんがNYから一時帰国した。
姉ちゃんには、記憶を無くしたあとまた牧野と恋人関係になっているとは知らせていない。
牧野を可愛がっている姉貴なら、相当喜ぶだろう。
だから、姉ちゃんが日本に戻る日に牧野を邸に呼んだ。
俺のプライベートルームである東の角部屋で姉貴が戻るまで二人で寛いでいると、俺はある事を思い出した。
デスクの引き出しに入っている携帯を取り出しながら、ソファに座っている牧野に聞く。
「牧野、この携帯、知ってるか?」
「ん?あ、それ、道明寺が昔使ってた携帯。」
牧野の隣に座り、その携帯を開く。
「俺が昔使ってた携帯?」
「そう。まだ取ってあったの?」
「ああ。デスクに入ってた。
でも、暗証番号が思い出せなくてひらけねぇ。」
そう言う俺の手から携帯を取ると、牧野が数字を4桁パッパっと入力しだした。
すると、すぐに画面が解除される。
「開いた。」
「まさかとは思ったけど、やっぱり暗証番号知ってたのかよ。」
「うん、あたしの昔のマンションの部屋番号。」
「マジかよ。」
自分の携帯の暗証番号を、こいつの部屋番号と同じにしてるなんて、どんだけ惚れてんだよと昔の自分に突っ込みたい。
「今までの携帯は処分してあるのに、これだけ取ってあるんだよな。」
「そうなんだ。何か大事な物でも保存してあるとか?」
「分かんねぇ。」
開いた携帯には、仕事関係の書類も入っていない。画像も綺麗に消去されている。
たまたま、この携帯だけデスクに残っていただけだろうか。
そう思い、携帯を閉じようとした時、1つのアイコンが目に止まった。
惑星のような形をしたアイコンに「dosei」と名づけられている。
「どせい?」
そう呟く俺に、
「土星?」
と、牧野も反応する。
「なにか知ってるか?」
「昔、道明寺が星占いをして、あたしたち二人は土星人だって。同じ星の下に生まれたとかなんとか言って喜んでたけど。」
それだけ聞くと、ただのアホのように聞こえるが、土星という単語を聞いて、なぜか頭の中が軽く揺れる不思議な感覚に陥る。
そして、「dosei」と名付けられたアイコンをそっと押すと、
「え……、なにこれ。」
牧野が驚きながら呟く。
そこには、牧野の画像がずらりと並んでいた。
「これ、あたしが高校生のとき。
こっちは、初めてNYに遊びに行ったときの。」
牧野と出会ってから、ずっと撮りためていた写真がすべて保存してあるのだろうか、1500枚近い画像が入っている。
「えっ!ちょっと何これ!」
中には、ベッドの中で眠る牧野や、二人だけのときに撮ったキャミソール姿の際どい写真もある。
「ねぇ、いつの間に撮ったのこんな写真っ!」
「知らねーよ。」
「知らないじゃないっつーの、変態っ!」
恥ずかしさから頬を赤くする牧野は、俺の手から携帯を奪おうとする。
それを阻止しながら、次々画像を見ていくと、二人きりの時に俺だけに見せてくれていた艶っぽい牧野が隠し撮りされている。
「信じらんないっ、」
「クックッ……、これはヤバいやつじゃん。」
「頭おかしいでしょあんた。」
「これくらい、男ならやってるんじゃねーの。
別に裸の写真とかじゃねーし、際どい物は何も写ってねーから、芸術じゃん。」
「はぁ?どこが芸術よっ!ただの変態だからねっ!削除するから貸して!」
「嫌だね、俺のコレクションだ。」
「コレクションって…著作権侵害だからっ!」
「クック…著作権って、おまえは俺のもんだから侵害になんねーだろ。」
「誰があんたのもんよ!」
携帯を奪おうとする牧野の両手を掴み、ソファに押し倒し言ってやる。
「違うのかよ。おまえは俺のもんだろ?」
「変態っ!バカッ、アホッ、スケベッ!」
両手を掴まれたまま身動き取れない牧野は、もう暴言でしか抵抗出来ないと観念したのか、俺を睨みながら「道明寺のバカ。」と、小さく呟く。
その表情、目、仕草、全部がマジで可愛くて、完全に男のスイッチが入った。
ソファに押し倒した牧野に、覆い被さるようにして身体を乗せ、キスをしようとしたその時だった。
「つーかーさーっ!!!」
でけぇ声と共に、俺の頭にバシッとすげぇ強い衝撃が走る。
「あんたっ、つくしちゃんに何してんのよーー!」
その声の主は見なくても分かる。
邸に到着したんだろう姉ちゃんだ。
「痛てぇーー。」
「変態、バカアホスケベって叫び声が聞こえたから走ってきてみたら、なにつくしちゃんのこと襲ってるのよ!記憶も戻らないのに、無理矢理犯そうってつもり!」
「ちげーよ、姉ちゃん、落ち着けって。」
「この状況で落ち着いていられるかって。
つくしちゃん、本当にごめんなさいね、このバカ弟が!記憶が戻るまでは二人きりで過ごさない方がいいわ。所詮、男なんてか弱い女の子に何するか分からないんだから!」
思いっきり俺を犯罪者扱いして、すげぇ剣幕で俺を怒鳴る姉ちゃん。
そんな姉ちゃんに、本当なら怒鳴り返してもいいんだろうけれど、俺は頭をブンブンと大きく振ったあと、姉ちゃんに近付いた。
「姉ちゃん。」
「…?な、なによ。」
ゆっくり近づく俺に、警戒しながら後ずさりする姉ちゃん。
「姉ちゃん、サンキュー。」
「はぁ?何言ってんのよ司。」
不思議そうに見つめる姉ちゃんを、俺はガシッと抱きしめた。
「んぐっ、…ちょっと、司離してよっ。」
「はぁー、まじで最高だな姉ちゃん。」
「は?あんたさっきからどうしたのよ。
頭おかしくなった?」
俺の腕の中でバタバタもがく姉ちゃんと、それを呆気にとられながら眺める牧野に言ってやる。
「記憶が戻った。」
「……え?」
「…司?」
「姉ちゃんに頭思いっきり殴られて、まじで全部の記憶、戻ったみたいだ。」
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皆さま、あけましておめでとうございます!今年もこのブログにお越しくださって感謝しております。司ラブの管理人が今年も妄想炸裂でお届けしますので、お付き合いくださいませ〜。
記事下にコメント欄がありますので、感想などどしどし送ってちょ。今年もよろしくお願いいたしまーす♡
コメント
司一筋さん
明けましておめでとうございます。
新年早々、きゃ~司の記憶が戻った!!!
椿お姉さんナイスです。
記憶が戻った司の愛情駄々洩れでつくしとの甘々を期待しますね(^^)/
こちらのお部屋のお話が幸せなつかつくでとても大好きです。
これからもドキドキ・ワクワクのお話を楽しみにお待ちしています。
今年もよろしくお願いしまーす。
甘々司全開でいきますよ〜
あけましておめでとうございます。
初めてコメントします。最新話、最高のお年玉です!!今年も素敵なお話楽しみにしています!
はじめまして〜。
今年もよろしくお願いしまーす。
嬉しいコメントありがとうございます!
いつもひっそり拝見しています。
わわわ!司の記憶戻った!
お姉さんGJ
ひっそりありがとうございます!笑
あけましておめでとうございます。
今年も司xつくしの切なく甘い物語楽しみにしています。
最高です!もう何度もすべての物語を読み返してます。ありがとうございます。
コロナにくれぐれもお気をつけ下さい。
あけましておめでとうございます!
今年もよろしくお願いしまーす♡
何度も読み返して頂けるようなお話、頑張って書き続けますね♡
椿さん、会心の一撃!
ナイスです
あけましておめでとうございます♪
今年もお話楽しみにお邪魔させていただきますね
どうぞよろしくお願いします
こちらこそよろしくお願いしまーす♡
明けましておめでとうございます
いつもお話楽しませていただいてます。今年もよろしくお願い致します。
こちらこそよろしくお願いしまーす♡