無敵 12

無敵

オフィスのソファの上で、またしても襲いかかる俺に、
「道明寺っ。」
と、胸を押し返して抗議する牧野。

その開いた口を絶好のチャンスとばかりに、舌を潜り込ませ、唾液を吸い上げる。

「ダメっ……」
その言葉さえも甘く響き、徐々に身体をソファに押し倒していく。

「道明寺っ、…んっ……くちゅ……やめ…て。」

完全にソファに押し倒した所で、真上から牧野を見下ろすと、
「それ以上したら怒るからねっ!」
と、濡れた唇が言う。

バカ、煽ってんじゃねーよ。
その唇を見て、そう思いながらもう一度顔を近付けた時、
コンコンとノック音がオフィスに響いた。

「失礼します」
と言って西田が入って来る。
そしてソファにいる俺達の体勢を見て、すぐさま
「失礼しました。」と退散しようとする。

それに、大声で牧野が叫んだ。
「西田さん待って!助けて下さい!」

出て行こうとしていた西田の体が、再びオフィス内に入る。

「副社長!」

「っ、西田、でけえ声出すな。」

「今すぐ牧野さんから離れてください!」

「あ?」

「いいから、今すぐっ、ソファから立ち上がってください。」

西田の剣幕に押され牧野から少し離れると、すぐさま俺の側から逃げ出し、西田の背中の後ろに回る牧野。

「大丈夫ですか?牧野さん。」
「はい、助かりました。」
「まさか、こんな事になってるとは。」
「西田さんが来てくれて良かったです。」

二人の会話を聞いてれば、完全に犯罪者じゃねーかよ俺は。

「おまえら、俺を犯罪者にすんじゃねーよ。」

「同意がなければ犯罪者になります。」

冷静に返す西田に俺は言う。

「あるに決まってるだろ!婚約してんだぞ俺たちはっ。」



それから20分後、
オフィスにコーヒーを持ちながら西田が入ってきた。

「牧野は?」

「仕事に戻っています。」
そう答えてデスクにコーヒーを置く西田。

そして、その場に立ったまま静かに俺に言う。
「副社長、もしかして記憶が戻られたのでしょうか?」

「いや。」

「では、牧野さんの事は思い出していないと?」

「ああ。」

俺の答えに少し黙った後西田が続ける。

「では、思い出していないけれど、牧野さんに襲いかかったのですか?」

「襲ったとか人聞きの悪い言い方すんじゃねーよ。普通に、…愛を確かめあった、的な?」
と、照れながら言う俺。

「副社長、牧野さんが好きなんですか?」

「あ?…いやー、まぁ、好きっつーか、婚約者なんだから、まぁ、」

「好きなんですね?」

「…ああ。」

怖いくらい真剣に聞いてくる西田に、素直に答えるしかない。

「牧野さんには?」

「一応、伝えてはある。」

「それでは、さっきのは、合意の元ではあるけれど、副社長が少しやりすぎた…と言う事で良いですね?」

「…まぁ、そういう事だ。」

オフィスでは止められていたのに、堪らずに襲いかかったのは反省するしかねえ。

「副社長、気をつけてくださいよ。」

「あ?」

「副社長は牧野さんに対して、いつもガツガツ行き過ぎますから、嫌われないよう程々に。」

長年俺の秘書として側にいる西田からの忠告だ。信憑性がありすぎる。

「過去にも?」

「副社長の場合、牧野さんとの出会いから最悪でしたし、いつも逃げ回る牧野さんを追いかけ回していました。その後も、実家に突然お邪魔したり、マンションの隣に引っ越したり…。」

聞けば聞くほど最悪な話ばかり。
逃げられてもおかしくない程のストーカーっぷりじゃねーかよ。

「マジでクズだな俺は。」
自嘲するしかねぇ。

すると、いつもは表情を崩さない鉄仮面の西田が、クスッと笑いながら言った。

「確かに強烈すぎるほどのアプローチでしたが、誰よりもまっすぐで、誰よりも潔かったからこそ、牧野さんを手に入れる事が出来たんだと思います。」

「でも、……忘れたんじゃどーしようもねーだろ。」

「いいじゃないですか。
副社長はどうしたって牧野さんに惹かれるんですから、それなら今のこの状況を楽しめば。」

「楽しむ?」

「ええ。
お二人はずっと遠距離恋愛でしたから、今が2度目の恋愛期だと思って楽しんでください。」

2度目の恋愛……か。
1度目の恋愛は紆余曲折だったらしい俺たち。
記憶を無くした事をマイナスだとしかとらえてなかったが、西田の言うとおりかもしれない。

牧野と2度目の恋愛を……。

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司一筋

コメント

  1. はれこ より:

    西田さん 良い仕事してますねぇ
    流石(ながれいしby司くん) 敏腕秘書ですね

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