無敵 11

無敵

あの日以来、牧野の薬指には指輪が光っている。
それは、俺が気に入っているデザイナーに特注で作らせたものだと一目で分かった。

F3から聞く俺と牧野の恋愛はかなりの紆余曲折だったらしいが、それを乗り越えるほど一途に牧野を愛していたのだろう。

早く思い出せーー、と願いを込めてこめかみ辺りをグイグイ押さえていると、内線で「花沢様がお越しです。」と西田の声がした。

その数分後、ノックもせずオフィスに登場する類。

「司、疲れたー。」
そう言って、どかっとソファに沈み込む。

「ここは休憩場じゃねーぞ。」
デスクから声をかける俺。

「類、何か用か?」

「仕事でこの近くに来たから、会いに来た。」

「ふーん。」
類の何気ない言葉をそう聞き流した時、

「失礼します。」
と、牧野がコーヒーを持ってオフィスに入ってきた。

牧野を見るなり類が言う。
「牧野、久しぶり。
仕事で近くに来たから、牧野に会いに来た。」

その言葉に俺が反応する。
「俺にじゃねーのかよっ。」

「え?俺が会いたかったのは牧野。」

「類、てめぇーー。」

読んでいた書類をデスクに置き、類が座っているソファの方へ行く。

俺と類の前にコーヒーを置く牧野を見つめて類が言った。

「わざわざあきらに確かめてまで、つけさせたかった指輪ってこれ?司。」

「あ?」

「独占欲の塊だね相変わらず。」

そう言ってニコッと笑う類は、
「牧野、ここ座って。」
と、牧野の手を引き自分の横に座らせる。

「牧野、司にいじめられてない?」

「え?」

「秘書だからって、無理なお願いとかしてるんじゃないかなーと思って。」

「んー、別に」
そう答える牧野に、

「司にいじめられたら、いつでも俺に連絡して。牧野を助けるのは慣れっこだからさ。」
と、得意気に言いやがる。

「類、それどういう意味だよ。」

「ん、何が?」

「こいつを助けるのが慣れっこって、」

「あー、昔から司に苛められた牧野は、俺に助けを求めてきてたから。」

「花沢類っ!」

そんな話は初耳だ。
無くした記憶については殆どF3から聞いたはずなのに。

「聞いてねーぞ。そんな話。」

「牧野、司に言ってないの?
牧野の初恋は俺……、」

「花沢類っ!」

類の言葉を遮るように牧野が怒鳴る。

そんな牧野を楽しそうに見つめながら類が立ち上がり、
「まったく、相変わらず面白いふたりだよね。
司が記憶を無くしたからチャンスだと思ったのに、半年も経たないうちにくっつきそうだし。
まぁ、せいぜい仲良くやってよ。」
そう言ってふらっとオフィスを出ていきやがる。

残された俺と牧野。

「牧野。」

「あたし、仕事に戻るね。」

「牧野っ。」

逃げようとするこいつの手を掴みソファに座らせ、俺もその隣に腰を下ろす。

「類が初恋って本当か?」

「べ、別にそれは今さら関係ないと思うし、」

「俺が苛めて類が助けたって?」

「それは、まぁ、そんな事もあったかなーなんて、ヘヘへー」

完全に目を逸らし誤魔化そうとするこいつの頬を両手で挟み、強引に俺の方へ向かせる。

「ちゃんと教えろよ。」

「……ヤダ。」

「知りてぇ。」

「……イヤ。」

怒ったように俺を睨む牧野。
そんなこいつに、もう一度優しく「教えろ」と言おうとしたその時、牧野が言った。

「あんたの頭の中がキャパオーバーであたしの事を忘れたんだとしたら、これからは余計な事は思い出さなくてもいい。
ただ、あたしがあんたの事をずっと好きだったって事だけ記憶してくれてればそれでいいから。」

胸が鳴るほど俺には甘いセリフに聞こえるのに、
目の前の女は睨みながら言ってくる。
そんなこいつが凶悪に可愛くて、完全に敗北を認めざるおえない。

「おまえなぁ……」

「な、何よ。」

「そういう事言うから、こうなるだろバカ。」

オフィスではするなと言われたばかりなのに、
堪らずに濃厚なキスをする。
おまえが悪い、そう呟きながら、今日もまた野獣になる俺。

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