「今すぐ、オフィスに戻ってこい。」
そう電話した10分後、息を切らしながらオフィスに入ってきた牧野。
「何かミスしてましたか?あたし。」
仕事の話だと勘違いしてるこいつの腕をとり、
オフィスの奥にある小部屋へ連れて行き、壁まで追い詰めてやる。
「道明寺?」
「俺に隠し事は?」
「ん?」
でかい目を更にでかくして俺を見つめるこいつに、一言だけヒントをやる。
「カフェの店長。」
すると、すべてを理解したように、
「あー。…ごめん、なさい。」と謝ったあと、
「でもっ、道明寺が誤解するような事は何もないし、」と、慌てて付け加えるところが気に食わねぇ。
「あいつとはどういう関係だ?」
「どういうって…」
「あいつに好きだって言われたのか?」
「ううん。」
「じゃあ、なんて言ってきてる?」
「……。」
「牧野っ」
「デートしようって誘われた。
けど、ちゃんと断ってる。」
そこまで聞いて、ようやく少しだけ安心すると、思わず牧野の肩におでこを預けて息を吐いた。
「ごめん、ね。
でも、どうして?」
「西田に聞いた。あの男が最近おまえの周りをうろついてるって。
俺に、挨拶する程度だって嘘ついただろバカ。」
「それはっ……。
正直に話して、ふーんって聞き流されたらどうしようって思ったから、」
「聞き流す訳ねーだろ。」
こいつの肩から顔を上げて、牧野を真っ直ぐに見下ろして言ってやる。
「婚約者が他の男に言い寄られてるのに、聞き流すかよ。」
正直に言ったその言葉に、牧野が反応する。
「婚約者って……。」
「違わねーだろ。記憶は戻ってねーけど、おまえは俺のものだ。」
その言葉へのご褒美のように、牧野が言った。
「道明寺、」
「ん?」
「…好き。」
小さく呟くように言ったこいつの言葉が、全身を一気に刺激する。
もう、抑えていた欲望が止まらない。
牧野の顔を上に向かせ、激しく唇を合わせる。
少し開いたその隙間から舌を口内に滑り込ませ、
溢れ出る唾液を吸い上げて、何度も何度も角度を変えながら甘い蜜を味わう。
崩れそうになる牧野の身体を支えると、牧野も俺の首に腕を絡ませてくる。
それを合図だと思い、さらにエスカレートした俺は、右手を軽く牧野の胸に乗せやんわり揉むと、
ビクッと反応した牧野が俺の胸を強く押し返した。
重なっていた唇が離れる。
そして、「どこ触ってるのよ。」と、赤い顔で俺を睨む。
「ダメかよ。」
「当たり前でしょ。」
「なんでだよ。」
「会社でする事じゃない!」
と、猛抗議。
あのエロいキスはよくて、その先はだめなのか?と聞いてやりてぇのを我慢して、その先を聞く。
「俺たち、会社ではそういう事してなかったのか?」
すると、俺の胸を思いっきりバシっと叩き、
「当たり前でしょ!変態っ!」
と、牧野が叫んだ。
「キスは?今までもありか?」
「そもそもあたし秘書じゃなかったから、会社でなんて…。それに、西田さんにバレたら怒られるからねっ!」
すっかり西田の子分になりやがって。
「バレなきゃいいだろ。」
「そういう問題じゃな……んっ……。」
それ以上文句を言わせないよう、再び口を奪う。
記憶はねーけど、分かる。
たぶん、俺はこいつの前だとただのスケベな男だったに違いない。

にほんブログ村
↑ランキングに参加しております。応援お願いしまーす♡司の暴走止められず。加速する一方でございます笑
コメント
司くん、素敵~!!
ありがとうございま〜す☆
司くんの暴走 止めないで~
どこまで行くか 楽しみ~
暴走しまくりますけどね笑