無敵 7

無敵
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コンビニまでの道をゆっくりと歩く俺たち。
きっと、ここも何度も通った道なんだろう。

「前にも、二人で歩いたんだよな俺たち。」

「うん。」

「何話しながら歩いてた?」

「んー、なんだろ。いつもくだらない事ばっかり。でも、……」

「でも?」

その先をなかなか言わねぇこいつに、
「言えよ。」
と促すと、

目線をそらして早口で言う。

「いつも手を繋ぎながら歩いてた。」

そっかぁ。
そうかもしれねーな。
たぶん、F3が言うように、俺はこいつに心底惚れていて、いつも甘く接していたに違いない。

言った牧野も気まずくなったのか、
「あっ、コンビニっ。」
と、駆け足で逃げていく。

店に入ると、俺は入り口横の本コーナーで立ち止まり、いくつかの雑誌に目を通す。
たまたま総二郎が載った経済紙があり、斜め読みしていると、

「道明寺」
と、牧野が呼ぶ声。

振り向くと、手にはビニール袋を持っていて、もう会計を済ませたようだ。

「ちょっと待ってろ、俺も買い物してくる。」
そう言って慌てて店の奥に入る。

スイーツコーナーから2つ手に取り、急いで金を払うと、雑誌を立ち読みしている牧野の側に戻る。

「行くか?」

「うん。」

そして、また来た道をゆっくりと引き返す。
5分くらいで着くあっという間の時間。

家の前に着き、さっき買った袋を牧野に差し出す。

「ん?」

「おまえにやる。」

「え、なに?」

受け取って袋の中を見た牧野。
すると、黙ったままのこいつの目になぜか大粒の涙が貯まりはじめた。

「っ!おいっ、なんだよ。」

「だって、」

こいつが泣く意味が全く分からねぇ。
そんな俺に、今度は牧野が、自分が買った袋を俺に差し出す。

訳もわからずその中身を見た俺は固まった。
さっき俺が買ったスイーツ2個と全く同じものだったから。

「いつもあたしが買うやつなの。
どうして?思い出したの?」

「いや。」

「でも、これ」

「ああ。無意識に買った。
おまえにやろうと思って無意識に。」

確信する。
記憶は途切れていても、俺の脳は牧野を確実に覚えている。

「牧野。」

「ん?」

「俺、今は回線がうまく繋がってねぇけど、おまえといると、きっと記憶が溢れ出してくると思う。」

「ほんと?」

「ああ。
脳に刺激が伝われば。」

「…刺激って……?」

俺を見上げるこいつの目にはまだしずくがたまっていて、それに引き付けられるように頬に手を伸ばすと、目を閉じる牧野。

そのはずみでまた、涙が頬を流れる。
親指でその涙をぬぐい俺は言う。

「こういう刺激。」
そう言ったあと、ゆっくりと牧野に近付き唇を重ねると、
小さくビクッと震えるこいつ。

堪らなくて、もう一度、さっきよりも長くキスをする。
脳に刺激が届くように。

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コメント

  1. 匿名 より:

    ナイスアイデア!
    刺激でシナプスが繋がるといいね!司くん!!

  2. 姫ママ より:

    今晩は、司くん大好きで司一筋さんと大ファンです
    つかつくが好きでもっと読みたいんです
    此れからも、沢山読ませて下さい

  3. はれこ より:

    きゃー 二人で同じスイーツ買ったなんて 
    しあわせ♥️

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