有りか無しか 30

有りか無しか
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1年後

千歳空港。
飛行機の時間まではあと一時間もある。
たくさん土産を買い込んだ牧野の手から、その紙袋を受け取ると、

「昼飯どーする?」
と、聞く。

「んー、しばらく北海道には来れないから、最後にバターラーメン食べたいっ。」

「オッケー。」

「道明寺は?ラーメンでいいの?」

「ああ。おまえが好きなものでいい。」

空港内のラーメン屋はどこも混み合っている。
いくつか見て回ったあと、牧野が言う海鮮バターラーメンがある店に二人で並んで座った。

北海道への異動もようやく解け、来週からはまた東京本社での仕事が決まった。
この一年、遠距離だった俺たち。
お互い時間が空けば、会いに行った。
そして、互いの両親への挨拶も済ませた。
あとは、式をあげて入籍するだけ。

「ねー、道明寺。」

「ん?」

「……あの人、見たことない?」

「あ?」

突然牧野がそう言う視線の先には、ラーメン屋の前を歩いていく男女二人。

「知らねぇ。」

「ちゃんと見てよ。ほらっ、あの女の人」

土産やに立ち寄る2人をもう一度見ると、確かに見覚えがある。

「あの女…」

「でしょ?あの人、道明寺の婚約者のっ」

「婚約者じゃねーし。」

「む・か・し!婚約しようとしてた人でしょ?」

確かにそうだ。
婚約をすっぽかして逃走した女。

「あっちの人は?」

「一緒に逃走した男。カメラマンらしい。」

「へぇ〜。なんかお似合いだねあの二人。
似たもの同士って感じ。」

そう言っておかしそうに笑う牧野。
視線の先の奴らは、両手にハイブランドの紙袋をいっぱい持ち、ジャラジャラとアクセサリーを身に着け、うさんくせぇ成金の匂いをプンプンさせてやがる。

「すっごい目立つよねあの二人。
でも、道明寺があの人と結婚してたらもっと目立つんだろーな。あははは。」

「想像すんな。」

おかしそうに笑いながら俺を見つめたあと、
「ごめんね道明寺。」
と、可愛い顔で言いやがる。

「あ?」

「だって、道明寺はあっち側の人なのに、あたしといるせいでラーメン屋なんかにいるんだもん。」

ごめんねと言いながらも、どこか楽しそうな牧野。

「俺はおまえがいればそれでいい。」

「ふふふ。」

「おまえの側が俺の居場所だから。」

「へへへ。」

俺がどんなに甘く囁いたって、軽く聞き流すこいつ。
そんな女が愛しくてたまらない。

「あっ、行くよあの2人。」

店から出た女と男が再び歩き出す。
買い物したたくさんの袋を持ちながらも、しっかり手を握る2人。

そんな奴らを見つめながら牧野が目を細めて言う。
「仲いいね二人。」

「…ああ。」

あの時、道を間違えなくて良かった。
俺にも大事な女がいたように、あの女にも心に決めた男がいたのだ。

それを貫いたから今の俺たちがある。

「牧野、幸せか?」

「え?」

突然そう聞く俺に一瞬驚いたあと、
牧野は楽しそうに言った。

「死にそうなほど、幸せ。」




有りか無しか FIN

お付き合いありがとうございました!

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