女の部屋に行くことが、こんなに幸せに感じるなんて今まで経験したこともなかった。
部屋のチャイムを鳴らすと、緊張した顔の彼女が出迎えてくれた。
そんな彼女の顔を見てクスッと笑うと、
「なんで、笑うの?」
と、上目遣いで睨む。
「バカ、緊張が伝染る。」
「え?」
「今更、呼んだこと後悔すんなよ。」
「し、しないもん。」
強がってんのは見え見えで、けど、そういう彼女が愛しくて、手加減してゆっくり進めようとしたはずなのに、理性が一気に崩れ去る。
彼女の頬を両手で包み込み、唇を重ねる。
今日はもう逃げられないと観念してるのか、口内に入り込む俺の舌も容易に受け入れてくれる。
「おまえが欲しい。」
少しだけ離れた唇から、そう告げると小さくコクンと頷いた。
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3ヶ月かけてゆっくり愛を育ててきて、ようやく結ばれる。
こんな風に大事に距離を縮めた恋愛も初めてで、自分のほうがどっぷり溺れてる自覚はある。
赤く染まる彼女の頬に口付けて、ゆっくりと繋がった身体を揺らすと、腕で顔を隠す彼女。
「痛いか?」
「ううん。」
「なら、顔見せろ。」
「だって、……恥ずかしい。」
そんな彼女の仕草も表情も、無自覚に俺を煽る。
身体と心、両方が満たされるとこんなに快感に感じるなんて……。
果てる寸前、俺は思わず、呟いていた。
「つくし、…愛してる。」
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どれくらい眠っていただろうか。
ふと目を覚ますと、さっきまでベッドで身体を重ねていた彼女が、キャミソール姿のままデスクにむかい何かを描いている。
俺は横になったまま肩肘を立て、そこに頭を乗せた姿勢で言った。
「もう、仕事か?」
驚いた顔で俺の方を見る彼女。
「邪魔なら帰るけど。」
そう拗ねたように言ってやると、
「違うっ。忘れないうちに書いておきたくて。」
と、少し照れたように言う。
「何を?」
「今の感情を。」
「ん?」
「だから、……ううん、なんでもない。」
何かを言いかけてやめるのが気に食わない。
チョイチョイと人差し指を動かして、彼女にこっちに来いと合図すると、俺を睨んだままゆっくりと近づいてくる。
手が届く位置まで来た彼女を引き寄せて、あっという間にベッドに組み敷く。
「言わねーと、さっきみたいに食うぞ。」
「……。」
黙ったままの彼女に俺はニヤリと笑いながら耳元で言ってやる。
「今度の食い方は激しいからな。」
正面から見下ろして威嚇してやったはずなのに、
彼女の次の言葉で俺は完全にぶちまかされた。
「ちゃんと覚えておきたかったから。
愛してる人に『愛してる』って言われた時の感情を。」
愛してる……初めて口にしたその言葉。
俺にとっては重すぎるその言葉を、
彼女も大切に残したいと思ってくれていた。
堪らずに彼女の首筋にかぶりつく。
「待って!言ったら食わないはずでしょ!」
「食わずにいられねぇ事言うからだろ。」
「はぁ?」
「黙って食われろ。」
ベッドの上で笑い合う俺ら。
俺は完全に彼女に弱い。
なぜなら、惚れてるから……。
『惚れた弱み』シーズン1 FIN
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コメント
惚れた弱みのシーズン2が早く読みたいです!!