惚れた弱み 10

惚れた弱み シーズン1

女の部屋に行くことが、こんなに幸せに感じるなんて今まで経験したこともなかった。

部屋のチャイムを鳴らすと、緊張した顔の彼女が出迎えてくれた。

そんな彼女の顔を見てクスッと笑うと、
「なんで、笑うの?」
と、上目遣いで睨む。

「バカ、緊張が伝染る。」

「え?」

「今更、呼んだこと後悔すんなよ。」

「し、しないもん。」

強がってんのは見え見えで、けど、そういう彼女が愛しくて、手加減してゆっくり進めようとしたはずなのに、理性が一気に崩れ去る。

彼女の頬を両手で包み込み、唇を重ねる。
今日はもう逃げられないと観念してるのか、口内に入り込む俺の舌も容易に受け入れてくれる。

「おまえが欲しい。」

少しだけ離れた唇から、そう告げると小さくコクンと頷いた。



3ヶ月かけてゆっくり愛を育ててきて、ようやく結ばれる。

こんな風に大事に距離を縮めた恋愛も初めてで、自分のほうがどっぷり溺れてる自覚はある。

赤く染まる彼女の頬に口付けて、ゆっくりと繋がった身体を揺らすと、腕で顔を隠す彼女。

「痛いか?」

「ううん。」

「なら、顔見せろ。」

「だって、……恥ずかしい。」

そんな彼女の仕草も表情も、無自覚に俺を煽る。

身体と心、両方が満たされるとこんなに快感に感じるなんて……。

果てる寸前、俺は思わず、呟いていた。
「つくし、…愛してる。」



どれくらい眠っていただろうか。
ふと目を覚ますと、さっきまでベッドで身体を重ねていた彼女が、キャミソール姿のままデスクにむかい何かを描いている。

俺は横になったまま肩肘を立て、そこに頭を乗せた姿勢で言った。

「もう、仕事か?」

驚いた顔で俺の方を見る彼女。

「邪魔なら帰るけど。」

そう拗ねたように言ってやると、

「違うっ。忘れないうちに書いておきたくて。」
と、少し照れたように言う。

「何を?」

「今の感情を。」

「ん?」

「だから、……ううん、なんでもない。」

何かを言いかけてやめるのが気に食わない。
チョイチョイと人差し指を動かして、彼女にこっちに来いと合図すると、俺を睨んだままゆっくりと近づいてくる。

手が届く位置まで来た彼女を引き寄せて、あっという間にベッドに組み敷く。

「言わねーと、さっきみたいに食うぞ。」

「……。」

黙ったままの彼女に俺はニヤリと笑いながら耳元で言ってやる。

「今度の食い方は激しいからな。」

正面から見下ろして威嚇してやったはずなのに、
彼女の次の言葉で俺は完全にぶちまかされた。

「ちゃんと覚えておきたかったから。
愛してる人に『愛してる』って言われた時の感情を。」

愛してる……初めて口にしたその言葉。
俺にとっては重すぎるその言葉を、
彼女も大切に残したいと思ってくれていた。

堪らずに彼女の首筋にかぶりつく。

「待って!言ったら食わないはずでしょ!」

「食わずにいられねぇ事言うからだろ。」

「はぁ?」

「黙って食われろ。」

ベッドの上で笑い合う俺ら。
俺は完全に彼女に弱い。
なぜなら、惚れてるから……。

『惚れた弱み』シーズン1 FIN

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コメント

  1. みのぽこりんこ より:

    惚れた弱みのシーズン2が早く読みたいです!!

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