惚れた弱み 3

惚れた弱み シーズン1

部屋は2LDKで、ベッドルームに使っている部屋以外は作業部屋にしているらしい。
アシスタント用のテーブルが2つと自分用のデスク。
鉛筆やインクなど漫画家らしい物で溢れている。

小さなソファにはブランケットが掛けられていて、さっきまでここで寝ていたのだろう。

「仕事は一段落ついたのか?」

「うん、一応。」

「少し寝たか?」

「昨日も徹夜だったから、終わった瞬間睡魔に襲われちゃって。ラインくれてたのに気付かなくてごめんなさい。コーヒーでいい?」

そう言いながら、キッチンに行く彼女。

その間、グルリと部屋を見渡して眺めていると、慌てて俺の方にやってきて、
「恥ずかしいから、あんまりジロジロ見ないで。」
と、腕をとり俺をソファに座らせる。

いつも外で会っていたから、さっきのように抱きしめたり、こんな風に腕を掴まれたり、スキンシップは初めてだ。

一応、付き合って1ヶ月なんだから、そろそろこういう事もいいか、なんて男の欲望も湧き上がり、そのまま彼女の手を繋ぎ、俺の横に座らせる。

じっと見つめる俺から目線をそらし、
「コ、コーヒー淹れてくるか……ら、んっ…」

逃げようとする彼女に初めてのキス。

触れるだけの軽いキスなのに、困ったように照れるから更に俺を刺激する。

もう一度唇を重ねようとしたその時、キッチンからお湯が湧ける音がして、彼女は慌てて立ち上がり逃げていく。

もっと触れていたい。
そう思うのは当然の欲求だが、
自分でも認めるほどの『恋愛初心者』だろう彼女を前に、狼になるつもりはない。

それなのに、キッチンから
「あ、コーヒーならこんなインスタントじゃなくて、喫茶店に行った方が美味しいかも。」
なんて、聞こえてくるから、少しだけ意地悪してみたくもなる。

キッチンへ行くと、カップにお湯を注いでいる彼女。
その背中をすっぽりと包み込むように抱きしめる。

そして、やかんを持つ手をゆっくり下ろしたあと、言ってやる。

「上手いコーヒーは飲めるかもしれねーけど、こういう事は無理だろ?」

そう言って、今度はじっくり唇を味わう。
キスの合間に漏れる小さな吐息さえも逃さないように丁寧に優しく。

初めて部屋に来たんだから、順序を守って、キスまでで、そんな風に抑えていたはずなのに、
いざ彼女に触れると言う事なんて聞かなくて、

俺は彼女の小さな身体を抱き上げると、ソファへ移動し押し倒した。

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