nephew 21

nephew

姉ちゃんからの『新居』話しを聞き、牧野の方を向くと「実はね……」と戸惑いながらも話し始めた。

「実はね、お姉さんも退院して宗太くんも嬉しそうだし、私もいつまでもここにお世話になってる訳にもいかないから、そろそろマンションに戻りますって皆さんに挨拶したら…………、」

話を聞けば、それに待ったをかけたのは宗太だったらしい。

「そろそろマンションに戻ります。」
牧野のその言葉に、

「つくしはどうしてここに住んでないの?
司にぃと結婚するんでしょ?」
と、当然のように聞いてきたそうだ。

「まぁ、いずれは結婚するとは思ってたけど、なかなか話が纏まらないから私もお母様も手を焼いていたのよ。
そのうち、つくしちゃんが痺れを切らして司を捨てちゃうんじゃないかってハラハラしてたんだから。
そんな大人たちの心配なんかよそに、宗太がいいタイミングでつくしちゃんに言ってくれたからほんと良かったわ。」

そう言って牧野にウインクして見せる姉ちゃん。

「俺も出張から帰ってきたらプロポーズしようと思ってたんだよ。」

「どうやら上手くいったようね。」

牧野の指に光る指輪を見て姉ちゃんは分かったようで、
「これで、やっとつくしちゃんが正式に私の妹になるのねーっ。」
と、牧野を抱きしめている。

そんな二人に、
「ババァが、この部屋を?」
と、聞くと、

「そうよっ。お母様もクールに装っているけど、あなたたちの結婚を首を長くして待ってたはず。
いつでもつくしちゃんがお嫁に来てもいいように、こんな部屋まで作っちゃって。」
と、笑う姉ちゃん。

確か一ヶ月前、牧野が怪我をして往診に来た医者に見てもらっている時に、なにやらエントランスが騒々しかったことがあった。
その時にババァに「何かあるのか?」と聞いたら、若干言葉を濁しながらも「ちょっと改装をね……」と言ってたのを思い出す。

俺たちのために着々と準備を進めていたというわけか。

「姉ちゃん、ババァは?」

「書斎にいるはずよ。」

「牧野、結婚の報告に行こうぜ。」

「うん。」

3か月後

「だーからっ、部屋に入るときはノックしてから入れっ、宗太っ!」

「したよ。僕、ノックしたよ。」

牧野との甘い新婚生活はそれなりに満喫しているけれど、唯一俺たちの邪魔をするやつはこいつだ。

「司にぃ、今つくしにチューしようとしてたでしょ?」

「うるせっー。」

「ママとグランマが言ってたよ。
司にぃはデレデレしすぎだって。」

その宗太の言葉につくしが吹き出してやがる。

「クソガキっ。
宗太、もう用意は出来たのか?」

「うん。あともう少しでジェットに乗るよ。」

「そうか。」

「司にぃ、…………
また冬休みに遊びに来てもいい?」

「ああ、……待ってる。」

結局、半年近くここで一緒に暮らした姉ちゃん親子が、今日でここを出ていく。
ジェットで半日あれば会える距離だとはいえ、さすがにこいつらがいなくなると思うと、邸が寂しくなるだろう。

「妹の面倒、きちんと見るんだぞ。」

「うん。わかってる。」

「ありがとな、宗太。」

「……なにがだよ。気持ち悪いなぁ。」

「うるせっ、クソガキっ!」

最後の最後まで俺と宗太の言い争いは続いているが、これでも俺はこのちいせー甥っ子に感謝している。

俺と牧野のデートをこいつに邪魔され、3人で動物園に行ったことをきっかけに、牧野がこの邸で暮らすようになった。
そのおかげで、今まで以上に牧野なしでは生きていけねぇ俺が出来上がっちまい、『結婚』まで猛スピードで駆け抜けた。

子供と遊ぶ牧野の姿に惚れ直し、牧野が待っている家庭の温もりに癒されて、家族というものへ憧れを持ち…………、

この数ヵ月で俺を成長させてくれたのは、
この目の前のガキだということは間違いない。

「おい、宗太。
おまえの部屋、そのままにしておくから、いつでも遊びに来い。」

俺がそう言ってやると、
「ラジャーっ!」
と、俺たちのキューピッドであるnephewが笑った。

Nephew Fin

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Nephew お付き合いありがとうございました。
はじめから終わりまで、付き合っている二人を書くのは意外にも初めてです。
ほのぼのとしたストーリーを……と思い書いてみました。

原作のストーリーでは山あり谷ありですが、その後の二人は静さんの結婚式のシーンにもあるように、ゆっくりとした恋愛をしていたのかなぁーなんて妄想してみました。

楽しんでいただけたら幸いです。

次回作品は明日から。リクエスト頂きまして、あるドラマをヒントに花男風にアレンジして書いてみました。毎日1500人程の方がサイトに来てくださっています。感謝を込めて、新作も少しずつですがアップしていきます。どうぞお付き合いくださいませ〜!

司一筋。

コメント

  1. つかつくらぶ より:

    司一筋さん、こんにちは。
    いつも楽しく読ませてもらってます。
    お引っ越しされる前の場所でも読ませてもらってました。司一筋さんの中のつかつくは私が理想とする二人が沢山いてキュンキュンしちゃいます。
    神尾先生のイラストからの総二郎とつくしの小話は単純に面白かったです。
    これからも応援してます。

    • 司一筋 司一筋 より:

      ありがとうございます!
      いつもワチャワチャしている我が家の
      司とつくしですが、これからもお付き合い
      お願いしまーす♡

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