VOICE〜ボイス おまけ

VOICE〜ボイス

3年後

「いよいよ、今日から本当の妹になるのね、つくしちゃん!」

そう言って、思いっきりあたしを抱きしめる椿さん。
そう、今日からこの人があたしの本当の義姉になるのだ。

「姉ちゃん、つくしを離せ。苦しがってるだろ。」

「まったく、姉にまでヤキモチ?」

お姉さんからあたしを引き剥がした道明寺は、そのまま手を繋ぎソファに座る。

NYでの留学を経て日本に戻り、順調に交際を続けたあたしたちは、今日めでたく婚姻届を出し、正式に夫婦になった。

身内だけの式をあげ、親友と軽く食事をし、今ようやく道明寺邸に戻り、お姉さんやお母様が集うファミリールームで寛いでいる。

壁に取り付けられたテレビからは、『道明寺財閥の御曹司、道明寺司さんがご結婚』というテロップとともに、ライトに照らされた道明寺邸が映し出されている。

そして、番組が進むに連れ、学生時代の同級生という名も知らない人が登場し、あたしたちの恋愛エピソードを語っている。
けれど、どれも記憶に残ってる顔はない。

どれもこれもあたしたち自身が知らないエピソードばかりで、メディアのインチキさに感心してしまうほど。

その時、画面が道明寺邸から切り替わり、見知った顔が画面に現れた。

「まぁー、鶴じゃない!」
思わず声をあげるお母様。

「あらあら、本当ですね、鶴さんだ。」
お茶を淹れていた手を止めて画面に見入るタマさん。

そう、画面に映し出されたのは、あたしと道明寺がお世話になった寮母の鶴さん。

女性アナウンサーにマイクを向けられてニッコリ笑う姿はいつもと変わらない。

「こちらは、英徳学園の特別な学生だけが入居できる寮の寮母さんをなさっていた鶴さんです。
学生時代のお二人のとっておきのエピソードをお聞かせ願いますか?」

「はいはい。もぉ、なんと言っても坊っちゃんがベタ惚れでしてね、毎日のようにつくしを追いかけ回してましたよ。」

鶴さんのその言葉に、ぶっと吹き出すタマさん。

「坊っちゃんはつくし一筋で、愛を貫いたんです。あっぱれですよ!私は初めて二人を見たときから、こうなる事は予想していました。坊っちゃんのあの目はいつもまっすぐにつくしに向けられてましたからね〜。」

ウンウン、と頷きながら画面に映る鶴さんは一人感慨深け。
そこまでは、良かったのだけれど、次の質問で事態は一変した。

「お二人を一番近くで見ていた鶴さんですが、1番印象に残っていることはありますか?」

アナウンサーの問いかけに、ニヤリと笑った鶴さんが言った。

「それは、坊っちゃんに一生で一度のお願いだと頼まれた出来事がありましてね。」

「えー、それは、どのような?」

「坊っちゃんから二人分の外泊届を渡されて、もしも二人が門限の10時を過ぎても帰ってなければ、外泊届を代わりに提出して欲しいと頼まれましてね。」

「つまり?」

「まぁ、この鶴がお二人の愛のキューピットって事になりますでしょうね〜。オホホホー。」

テレビ画面には得意気に笑う鶴さんの姿。
あたしは、恥ずかしさで道明寺の体に隠れるように縮こまるしかない。

すると、テレビを遮るようにしてあたしたちの前に仁王立ちをしたお母様。

「どういうことかしら?」

「…あ?」
とぼける道明寺。

「外泊届は事前に提出して許可を得る事になっているわよね?」

「そうだったか?」

「しかも、他人に代わりに提出してもらう事はルール違反よ。」

「まぁ、昔のことだろ。」

そう言って、あたしの手をひき立ち上がる道明寺。
でも、お母様はそう簡単には逃してくれない。

「確か、二人はその前に2回ペナルティをおかしていて、あと1回問題をおこせば停学処分だったはずよね?」

「…そー、…だったかもな。」

「だったかもな?じゃないわよっ!
あなたって人はまったく、つくしさんが関わると後先考えず、見境なく突っ走るんだからっ!
そんな事だと、これから先も仕事において困るのよっ。その体質、どうにかしないと…こらっ!
待ちなさいっ!!」

お母様のお説教が終わらないうちに、あたしの手を強く握り駆け出す道明寺。

「つくし、逃げるぞ。」

そう言って綺麗に笑う道明寺を見て、ドキリと胸が鳴る。

あたしはいつまでこの人にドキドキさせられるんだろう。
そして、いつまでも一番側でこの笑顔を見ていたい。

おまけFIN

VOICE、お付き合いありがとうございました。

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