小話 (司VS滋ちゃん 2)

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「また、おまえかよ。」

この男は相変わらず腹が立つ。

「うっさい司っ。」

そう言い返したものの、デートの邪魔をしているのはあたしの方だから、それ以上は仕方なくやめておくとしよう。

仕事終わりの金曜日。
つくしにディナーの誘いの電話をすると、
「道明寺と約束があるけど一緒にどう?」
と優しい返事。

司には嫌な顔をされる事は承知だけど、
あたしだって久々につくしに会って話したい事もある。

待ち合わせ場所のレストランに行くとまだ司の姿はない。
つくしと近況を話し合っていると、
「また、おまえかよ。」
とラフな服装の司が登場。

いつ見ても憎いくらい綺麗な男。
来ているコートを脱ぎ、つくしの頭に軽く手を乗せたあと、その横に座る。
相変わらずつくしだけを溺愛しているらしい。

「また俺たちのデートを邪魔しに来たのか?」

「いーでしょ、たまには滋ちゃんの相手もしなさいよ。」

「おー、おー、分かった分かった。
で?また振られたのか?」

「ざんねーん!ラブラブですぅー。」

前回の恋愛は彼氏の浮気で玉砕したあたし。
あれから3ヶ月。
新しい彼氏ができたのだ。
しかも、

「なんかね、彼って、あたしが初恋なんだってぇ〜。」

ニヤける顔を押し殺しながらそう言うと、

「マジかよ。激レアだなそいつ。」
と、憎たらしいバカ男。

「初恋って、彼いくつなの?」

「あたしより2つ下。
今まで本気で好きになった人がいなかったみたい。滋さんが僕の初恋ですって言われちゃったのー!」

「何それ〜かわいい。」

あたしと一緒になってはしゃいでくれるつくしに、司は冷たい視線を送ったあと、
「25にもなって初恋だっつー男だぞ。」
とわかりやすく不機嫌になる。

「歳は関係ないのっ。初恋は人生一度きりなんだから。ね、つくし。」

「う、うん、まぁ、そーだね。」

つくしにとっての初恋は花沢類。
それは司にとっても痛い歴史。
攻めるならここしかない!

「つくしも初恋はいい思い出でしょ?」

「ん、んー、」

「つくしの初恋って類くんよね?」

「滋さんっ。」

つくしを使うのは気が引けるけど、司をイジメるのはこの手しかない。
そう思いながら、司の方を見ると、案の定テーブルに肘を付いてつくしを見つめている。

少し言い過ぎたか?
そう思った矢先、照れもせずに言い放つ司。
「俺の初恋はこいつだ。」

「ど、道明寺っ」

「初恋はいい思い出かもしれねーけど、俺みたいに思い出なんかにしねーで、貫き通して実らせてる奴はどのくらいいるだろーな。」

ヤバい、逆に司にマウントを取られたあたし。

「つ、つ、司は、単細胞だから、恋愛も突っ走る事しか出来ないだけじゃん!」

「うっせー、誰が単細胞だよっ。」

「つくしにしか反応しない単細胞でしょ!」

「……。」

言い返せない司の代わりに、つくしがサラッと黒歴史を言う。

「記憶なくした時は、海ちゃんにも惹かれそうになってたけどね。」

懐かしいその名前に、あたしと司が一瞬で固まるけれど、むしゃむしゃとパスタを頬張るつくしはもう過去の話らしい。

「司、なんか……ごめん。」

「おう、俺も……わりぃ。」

なぜか、変なところであたしたちの喧嘩は着地した。

プルプルプル………

「わりぃ、ちょっと電話に出てくる。
牧野、好きなデザート頼んでおけ。」

そう言い残し、司が席を立った。
それと同時にあたしたちの隣のテーブル席に男性2人が座った。

つくしはデザートを選ぶのに夢中。
でもその男性2人はチラチラとこっちを見ている。
あたしがフリーなら声をかけるかも…と思うくらいハイレベルの2人。
軽く会釈するとむこうもにこりと答えてくれる。

そこに司が戻ってきた。
チラッと隣の2人に視線を移したあと、自分の席には付かず、つくしの隣に立ち、『席かわれ』とつくしに小声で話している。

まったく、どこまで行っても独占欲の塊なんだからこの男は。
隣の男性たちからつくしを遠ざけたくて、わざわざ自分の席と交換させるなんて。

はぁーー、
自然と彼氏のことを考えるあたし。
はたして彼はこんな風に、あたしを大事に扱ってくれるだろうか。

それを見透かしたように、席についた司はあたしを見てクスッと笑う。
そして言った。

「初恋かどうかなんて関係ねーよ。
1番はじめに好きになる事よりも、1番大事に相手を想ってるかって事が重要なんじゃねーの?」

分かってる。
司を見てればあたしだってわかるよ。
ただ、そういう相手を見つける事が難しいって事あんたは知ってる?

そう心で呟くと、
そんなあたしたちを見て、
「また喧嘩始まったのー?」
と、つくしが渋い顔で笑った。

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