「おまっ、何やってんだよ!」
あたしの方へ大股で近付いてきた道明寺は、
床に座り込むあたしを見下ろし、
ニヤッと笑いながら言った。
「助けてやろうか?」
「……うん。」
足にシーツが絡まってうまく立ち上がれない。
「手」
「ん。」
手を伸ばせと言う道明寺に、おとなしく両手を差し出すあたし。
勢いよく引き上げられ、そのまま道明寺の胸の中に囲まれる。
「ちょっ、バカっ、離してよ!」
「おまえはいつから邸の使用人に戻ったんだよ。」
「それはっ、ちょっと色々事情があって。」
ようやく腕を緩めてくれた道明寺から慌てて体を離すと、
「おやおや、こんな所に集合してたのかい。」
と、タマさんの声が部屋に響いた。
綺麗に畳まれたあたしのワンピースを持つタマさんが、
ひかるさんの部屋の扉を開けて立っている。
「つくし、アイロンもかけておいたよ。」
「あ、ありがとうございます!」
慌ててタマさんの側に駆け寄ったあたしは、ワンピースを受け取り、
「あたし、片付けがあるのでこれで失礼します。」
と、替えたばかりのシーツを抱えて逃げの態勢。
そんなあたしに、
「バカっ、待てって。」
と言って追いついた道明寺は、あたしの手からシーツを奪うと、それを床に置き
「タマ、あとは頼む。
この使用人は俺が教育しとく。」
そう言って嬉しそうにあたしの手を握って歩き出す。
そんなあたしたちに、
「手加減してやっておくれよ坊っちゃん。」
と、タマさんの呆れた声が聞こえた。
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「いつ来た?」
「んー、1時間くらい前。」
「で、服を汚して使用人になってたって訳か?」
この人には説明しなくてもお見通しらしい。
道明寺の部屋がある東エリアまで手を握られたまま歩く。
「あいつの部屋にはなんで居た?」
「あー、たまたま廊下で会って、あたしを使用人さんだと勘違いしたみたい。」
「俺の彼女だって言わなかったのかよ。」
「この格好で言えるはずないでしょ。」
道明寺の口から『彼女』というセリフが出てきて、なぜか照れる。
と、その時、
廊下の向こうから使用人さんが二人話しながら歩いてくるのが見えた。
咄嗟に道明寺の方を見上げると、
道明寺もあたしの顔を見て、
次の瞬間、今来た廊下をあたしの手を引っ張りながら走り出す。
まるでかくれんぼをしているかのように、廊下に人がいないことを確かめながら、走って走って、
ようやく見慣れた東棟に来た所で、
道明寺が懐かしい所に寄っていくか?
と言って優しく笑った。
道明寺が言う懐かしい所とは、
昔あたしが使用人としてお世話になった時に使っていた、屋根裏部屋。
そっと入り、天井から下がる豆電球を付ける。
部屋は昔のままではあるけれど、さすがに使われている気配はなく、
ベッドにはいくつかのダンボールが積まれている。
カチリと部屋の鍵を閉め、
「そろそろ着替えろ。」
と、あたしのワンピースを見ながら道明寺が言う。
「うん。」
返事をしたのはいいけれど、この部屋で着替えができそうなスペースなんてどこにもない。
「道明寺、あっち向いてて。」
「あ?なんで?」
「だから、着替えするからっ。」
「いいじゃん、しろよ。」
この人がこういう顔をする時は要注意だ。
あたしをからかう様な、それでいて熱っぽい目をしている。
「道明寺っ、」
「でかい声出すと、誰かに聞かれるぞ。」
そう言いながらも、道明寺の手はあたしのブラウスのボタンを器用に外していく。
3つ外したところで、待ちきれないかのように大きな手が入り込んできて、胸を直に触りだす。
「道明寺……や……、」
文句を言おうとするあたしの口は簡単に塞がれて、抗議の声も飲み込まれていく。
狭い部屋に、
クチュクチュといやらしい音が響き、堪らなくなって、首をイヤイヤとふると、
そんなあたしに、一度唇を離した道明寺が言った。
「ごめんな牧野。」
「…ん?」
「あいつと二人で出掛けたこと、
写真撮られたこと、
おまえを怒らせたこと。」
小さな豆電球の下でも分かる。
道明寺が珍しく不安そうな顔をしているのが。
「いとこなんでしょ?
それ以上、何もない?」
「ああ。」
「ほんと?」
「ああ。誓う。」
再び落ちてきたキスに、それ以上何も聞かせてくれない。
道明寺の手によってあっという間にブラウスは脱がされ、スカートもファスナーが下ろされていく。
床にスカートが落ちる音がして、我に返ったあたしは、
「道明寺、着替えるから。」
と、側に置いてあったワンピースを手に取った。
すると、そんなあたしの手をグイッと引っ張った道明寺は、そのままベッドの側まで行き床にペタリと座り込んだあと、あろう事かあたしを正面から抱き寄せた。
座る道明寺の体を跨ぐように足を開いて、向かい合うあたしたち。
持っているワンピースで必死に隠しても、あたしの体は下着しか付けていない。
「道明寺っ、」
「寒くねぇ?」
「そういう問題じゃないっ」
「クッ……文句は後で聞く。」
こんな所で、まさかね、まさかね、
そう思うけれど、
道明寺の手は器用にあたしのブラジャーのホックを外し、
自分の上着を床に敷き、あたしをその上に押し倒す。
胸の先端に道明寺の口内の熱い刺激が走り、思わずビクッと体が弾くあたしに、
エロい…と小さく呟いた道明寺は、あたしのショーツをスルリと引き抜いた。

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