バカな男 17(最終話)

バカな男

久しぶりに二人で迎える朝。
布団の温かさと、隣にいる牧野のぬくもりが気持ちよすぎて、なかなか目を開けられない。

ウトウトしてる俺のとなりで牧野が動く気配がして、俺もゆっくりと瞼を開けようとしたとき、

「信じらんない」と牧野が呟いた。

その声で俺も覚醒し、

「どうした?」と聞き返す。

「もうっ、信じらんない。」

再びそう言って、部屋の中を見つめている牧野の目線をたどると、
玄関にはこいつのかばんと俺の靴が重なるように置いてあり、そこからベッドまでの道筋に、
牧野のヒールが片方ずつ投げ捨てられ、俺のジャケット、牧野のブラウス、俺のベルトとワイシャツ、牧野のズボンとブラ、そして、ベッドの横には2枚のタオルと牧野のパンティ…………。

昨日の俺たちは、玄関から『直行』したあとも、シャワーを二人で浴び、朝方まで何度も愛し合った。

「道明寺、着替えどうする?」

「ああ。これはさすがに着れねぇな。」

脱ぎ捨てられ、悲惨な形になっている昨日の服たち。

「西田に持ってきてもらうしかねーな。」

「えっ?ヤダヤダ。どうしよ。」

「何でだよ。」

「だって!着替え持ってきてなんて頼んだら……そのぉー……なんかバレバレだし……。」

「バカ。バレバレでいいんだよ。
彼女の家に泊まって何がわりぃんだよ。」

そだけど、そういうことじゃなくて、でも、だって……を繰り返すこいつをベッドに残し、俺は携帯で西田に連絡する。

牧野の心配はよそに、西田は淡々と
「30分ほどでマンションまでお持ちします。」
と、ピザのデリバリー並みの回答をした。

俺が電話をしている隙に、牧野は俺の横を通り抜け、シャワーに行ったのか、水音が聞こえてきた。

俺はもちろん躊躇することなく、後を追った。

西田が持ってきた服に着替え、牧野が作るボンビーな朝食を久しぶりに食った。
ごはんに味噌汁、魚とネバネバ納豆。
相変わらず色気のねえ飯だけど、すげーうまい。
俺もこんなのがうまく感じるようになったんだから、相当こいつにイカれてる。

「道明寺、今日の服はそれなの?」
ラフなジーンズにセーターの俺。

「これでもアルマーニだぞ?」

「いやっ、そういうことじゃなくて。
…………アルマーニって、あんた!
…………仕事は?」

「今日は休みだ。」

「休み?そうなんだ。」

「どこ行く?どこに行きたい?
おまえの行きたいとこに行こうぜ。」

「えっ?いいの?」

「ああ。もうおまえに恋人ごっことか言わせねぇから。」

「…………。道明寺、おかわりは?」
俺のからになったごはん茶碗を見て、聞いてくる牧野に、

「少し頼む。」
そう言って、茶碗を渡すと、ごはんをよそいに席をたつ。

その時、
「映画がいいな。」と呟くのが聞こえた。

「映画?」

「うん。NYで見た映画が、もう一度見たい。」
ごはん茶碗を俺に渡しながら、

「面白そうだと思ってNYで見たけど、あたし英語そんなに得意じゃないから、字幕なしじゃちんぷんかんぷんだったし。
だから、ちゃんと字幕付で見たいの。」
と言う牧野。

ああ。おまえあのとき映画館で泣いて見れなかったんだろう?あん時、気づいてやれなくてごめんな。

「わかった。今日は映画に行くぞ。」

すげー嬉しそうに頷く牧野。

「ねぇ、道明寺、たくさん恋人らしいことしようね。映画行ったり、買い物したり、待ち合わせて食事とか。手を繋いで散歩も。
イベントは出来るだけ二人でしたいな。」

「却下だ。」

俺のこの言葉に、今までの嬉しそうな顔が曇る。
そんな顔させたくて言ってんじゃねーよ。

「なぁ、牧野。
今おまえが言った事は、俺もしたいと思ってるし、ちゃんとしようぜ。
でも、俺はもうやなんだよ。
おまえと『恋人』の関係じゃ。

俺はこの先もおまえ以外あり得ねぇし、離すつもりもない。
絶対におまえに後悔させねーから、

おれと結婚してくれねえか?」

心底驚いた表情の牧野は、俺の突然のプロポーズに戸惑っているようだが、
俺は本気だ。

日本に帰ってきてからずっと考えてた。
おまえが何よりも大事で、幸せにしたい。
俺にもう一度チャンスをくれるなら、一番側で見守りたいと。

「本気で愛してる、牧野。」
ありったけの愛を込めて伝える。

その言葉にうっすら涙を浮かべて答えてくれた。
「はい。…………お願いします。」

ボンビーな朝食を挟んで向かい合いながらする
プロポーズ。
俺には不釣り合いなシチュエーションも、こいつが相手ならしょうがねぇ。

だって俺はこいつなしでは生きていけねえほど、惚れてるしイカれてる。

「映画のあとは、指輪見に行くぞ。」

Fin

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