バカな男 9

バカな男
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俺は今、すげー後悔してる。
帰国祝いと称していつものメンバーで飲んだあの日から10日あまり、毎日のようにため息をついている。
何故かと言うと、
『なんで俺はあいつの携帯番号を聞かなかったんだ』と悔やむ。

滋にでも聞けば教えてもらえるかも知れねぇけど、他の誰かに聞いてかけるんじゃなく、自分の手でゲットした番号で『正式』にかけたいんだ。

総二郎あたりに話したら
『まためんどくさいことやってんなっ。』
って笑われそうだが、そういうとこは譲れねぇ。

アドレスでも知ってれば、たとえ返事が返ってこなくてもメッセージを送り続けてやるのに、何も手立てがないんじゃ、まるで俺がこの10日間牧野のことを考えていねえみたいに伝わるんじゃないかと悶々としてる。

NYにいた時は、こんな風に考えたこともなかったし、現にあいつからのメールに返事をしなかったことも幾度とある。
それなのに、なんで俺はたった10日ぐれーでこんなにあたふたしてんだよっ。

そう考えると、答えは1つしかねえ。
『あいつの気持ちが離れたこと』が原因だ。
数ヵ月前までの俺は、何故かバカみたいに自信があった。
俺が牧野を愛してると同様にあいつも俺を見てくれてると。
そのバカな自信がおごりになって、俺はあいつとの距離を間違えた。
今の俺は自信どころか、この間、牧野に触れようとして避けられたことを思いだし、落ち込む一方だ。

だからってウジウジしててもしょーがねぇだろ。
類にも言われた
『司らしくぶつかれ』
ああ、そうさせてもらう。

俺は次の日、強攻手段に出た。
仕事を昼までに切り上げ、自分の車であいつの学校まで向かった。
何をするかなんてこれっぽっちも言ってねぇのに、俺が午後からの仕事を午前中にまわし、もうスピードでこなしていく姿を見て、秘書のにしだが
「いつもそうやって頂けるとありがたいのですが。…………牧野さまによろしくお伝え下さい。」と、
俺の行動はバレバレらしい。

俺はあいつが勤める学校まで行くと、門の前で牧野が出てくるのを待つことにした。
下校していく生徒たちが俺を見てヒソヒソと話したり、何度も顔を見に来るやつもいる。
けど、いっこうにあいつが出てくる気配はねえ。

そうして一時間ぐらいたった頃、学校の玄関から牧野が走ってくるのが見えた。

「道明寺っ!」目が怒ってるよっ。

「おう!」

「おう!じゃないでしょ。何やってんのよこんなところで!」

「おまえを待ってた。」

「待ってたって…………。
あんた、自分がどれだけ目立つ存在か分かってないでしょ。もう、学校中の噂よっ!」

「なんだよ噂って。」

「だから…………、背が高くて、お金持ちそうなカッコいい男の人が校門の前にいるって……」

「今時の高校生も見る目あんじゃん。」

「バカ!とにかくここにいられたら困る。帰って。」
そう言って、俺の腕をとり、門から少し離れたところまで連れて行く。

「何時に終わる?飯食いにいこーぜ。」

「行けない。すごく遅くなるから。」即答。

「遅くても待つ。」

「無理。他の人と約束してる。」嘘くせー。

「誰だよ、他のやつって。」

「あんたには関係ない。」

「…………、じゃあ出直すから携帯教えろよ。」

「…………。」

「毎日ここで待ってるぞ。」

「バカ!来んな!」

「だったら教えろ。」

「…………もぅ!分かったから、教えるから今日は帰って!」

そう言って、ポケットからボールペンを取り出すこいつ。
何をするんだ?と不思議に思ってると、
「携帯置いてきちゃったから」って言いながら、俺の腕をとり、手の甲に何やら書き出した。
覗いて見てみると、11桁の番号。

「消えたらそれまでだからね!」

牧野のこういう行動が俺の心をわしづかみにするってことをこいつは全くわかっていねぇ。

もう避けられてもいい。
ボールペンを握る牧野の手を掴み、俺の方に引き寄せ、強く抱き締めた。

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