バカな男 6

バカな男

20日後、俺は日本に帰国した。
この若さで日本支社の支社長に就任したことで、ニュースにも大々的に報道され、話題になったが、徹底したマスコミ管理とクールな対応で、騒ぎも短期間に鎮まった。

これだけニュースになれば、牧野の耳にも俺の帰国のことが入ってるだろうが、自分の口から帰ってきたことを伝えたかったし、一目会いたいのが本音。

なんとか仕事も落ち着き、帰国から2週間目に少し自分の時間を得た俺は、とりあえずあいつが勤める高校を見に行くことにした。

都内の私立高校。
今日は日曜だから生徒の姿もなく閑散としている。
学校の回りをゆっくりと歩いてみる。
ここにあいつが働いているんだと思うと不思議な感覚だ。

日本に帰って来た喜びと、側に牧野がいねぇ悲しみに挟まれ一人自嘲する。
学校の回りに咲くたくさんの花。
あんなに帰ってきたかった美しい日本なのに、一番喜ばせたかった人を失っちまった。
俺は学校のフェンスに背をもたれ、しばらく動くことができなかった。

その夜、あきらから俺の携帯に電話があり
「司、日本帰国おめでとう。やっとだなっ。」

「おう。」

「それでよ、今週の金曜におまえの帰国祝いをする予定だから空けとけよ。」

「メンバーは?」

「いつもの連中だ。俺らに滋、桜子、…………牧野は呼んでねえ。」

「俺が呼ぶ」

「司?」

「牧野はおれが誘う。」

「おまえら…………ダメになったんだろ?」

「友達としてだ。友達として誘う。」

「友達かよっ……まぁ、おまえの好きにしろ。
時間が決まったらまた連絡する。」

そう言って、切ったあきら。
友達として…………
自分で言っといて、落ち込んでどーすんだよ。
理由なんてどーだっていい。
あいつに会いに行けるなら……。

金曜の夜に決まった俺の帰国祝い。
それを聞いて俺は今日、牧野の家の前にいた。
夜7時、牧野のマンションの前で待っているがあいつはまだ帰ってきていない。
それから20分、パンツスーツを着込んだあいつが角を曲がってくるのが見えた。
マンションの前まで来ると俺の存在に気付き、

「道明寺?」と、小さく呟く。

「牧野。…………遅かったな。」

「そう?…………いつもこの時間なの。」

3ヶ月ぶりに聞くこいつの声に不覚にも涙が出そうになる。
何も言わねぇ俺に牧野が

「どうしたの?こんなところで。」

「……日本に帰ってきたから。」

「うん。ニュースで見た。
おめでと?で、いいのかな……。」

「ああ。……帰国祝い……」

「えっ?」

「今度の金曜に帰国祝いをあきらたちがやってくれるらしい。だから、おまえも来いよっ。」

「えっ、…………」

「知り合いだろ?知り合いが6年ぶりに帰国したんだ。お祝いに来いよ。」
自分でもずるい誘い方だっていうのはわかってるけど、どんな言い方でもこいつに「うん」と、言わせてぇから。

「道明寺…………。」牧野の顔が歪む。

「バカ、嫌味で言ってんじゃねーよ。
久しぶりにみんなで会おうぜ。」
優しく言うと

「……わかった。」と返してきた。

俺はもう一歩こいつに近づきたい。
「牧野、おまえ携帯変えただろ。」

「……うん。……ごめん。」小さく謝るこいつに、番号教えろと言いたかったが、言えなかった。情けねぇけど、断られるのがすげー怖いから。
牧野も気まずそうに俯いている。

「そんな顔すんなっ。」
俺は牧野の頭に軽く手を置き、

「時間と場所が決まったら、滋にでも連絡させる。……またな。」

そう言って、マンションを後にした。

牧野と離れてた6年分。
知らぬ内に傷つけ悲しませてた6年分。
愛してると伝えなかった6年分。

俺はどうしたら取り戻せるのか。
…………死ぬ気で、取り戻したい。

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