バカな男 10

バカな男
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牧野を腕の中に閉じこめた。
NYでの逢瀬から4ヶ月。
久しぶりのこいつの温もりと香りに包まれて、全身に安堵感が広がる。

さらに腕に力を入れてギュッと体を密着させようとした時、俺の膝下に牧野の蹴りがヒットした。

「痛てぇーっ。」

「バカ、変態!あんた学校の前で何てことすんのよっ!青少年たちが見てるじゃないのよっ!」

まわりをキョロキョロせわしなく見るこいつに、
「青少年って、プッ……。誰も見てねぇよ。
なんなら場所変えるか?」
ってからかうと、

急に真面目な顔になって
「誤解されたら困るから…………帰って」と。

誤解?
誤解されたら困るような奴がいるのかよ。
牧野に向き直って、そう聞こうと思ったとき

「先生~!その人だれですかぁー?」
と、3人の女子生徒が近づいてきた。

「もしかして、先生の彼氏?」

「違う違う。ただの知り合い。」

「すっごいカッコいい人!モデルみたい!」

「良いのは顔だけね。中身はほんと最悪。
性格は悪いし、横暴だし、わがままで……」
スラスラと俺の悪口を言い始めたこいつに

「おまえそれ以上言うと、青少年の前で見せられねぇことするぞ。」
そう耳元で囁いてやる。

俺の言葉に、口をパクパクさせて見上げてくるこいつ。

その顔を見ながら
「今日は帰る。
電話したら出ろよ。出なかったらまた来るからなっ。」
そう言って、にやっと笑いながら牧野に背を向けた。
うしろでは、
「やっぱり先生の彼氏じゃん。」と、
生徒たちが騒いでるのが聞こえた。

それから俺は3日と間隔をあけずに、牧野に電話をしている。
本当は毎日してえところだが、夜の会議やら会食やらで、遅くなる日も結構あり、そんな日はさすがに諦める。

あいつは、また学校に来られたら困るからなのか、俺の電話には素直に出るが、忙しいだの眠いだのとなにかと理由をつけて、すぐに切りたがるから厄介だ。

今日もまた、俺がかけた電話に、
「道明寺、あんた暇なの?」

「あ?暇じゃねえよ。今もまだオフィスだ。」

「なら、切るね。」

「っ!おい、切んな。」

「毎日、毎日かけてくるけど、あたしもあんたと同じで暇じゃないの。」

「もしかして、おまえまだ学校か?」

「家にいるけど。……テストの採点とか、あしたの授業の用意とか、色々あるから切るよ。」

「待てよ。……牧野、」

「ん?」

「なら、休みの日に会おうぜ。
土曜でも日曜でも、おまえに合わせる。」

断るんじゃねーぞ。
俺だって勇気だして言ってんだからなっ。

少しの沈黙のあと、

「わかった。あたしも道明寺に話したいことあるし。…………19日の日曜日、空けといて。
時間と場所はあとでメールする。
アドレス変えてないよね?」
それと、……その日まで電話はもうやめて。 」

19日の日曜日まで、あと10日。
その間、牧野の声を聞けないのは辛いけど、

「わかった。」

そう言うしかねえ。
おまえに会いたいから。

牧野の言った『話したいこと』
大体、予想はつく。
今までのかたくなな態度からみて、いい話じゃねえ事はわかる。
だからって逃げててもしょーがねーし。

俺もあいつに伝えたいことがたくさんあんだよ。
それをあいつに言わねぇで、勝手に終わりにされるのはごめんだ。
まだまだ言葉に出して伝えてないことがある。

どんだけおまえが大事で、俺の支えで、心から好きだってことを。

ありったけの想いを込めて、伝えたい。

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